『夜明けのブギーポップ』アニメ第10話~13話放映前に原作小説について解説

『夜明けのブギーポップ』アニメ第10話~13話放映前に原作小説について解説

ブギーポップは笑わない『夜明けのブギーポップ』あらすじ

君はこの世に取り返しがつかないことはないと思うかい? 辛い過去も、どうにかして清算することができると思うだろうか。それとも過去は、触れることのできない暗部でどうしようもないかな? 昔に起きたことはその後のすべてを決めて変えることはかなわないのだろうか? ……これはぼく、ブギーポップの誕生に関する物語だが、ここには四人の変わり者が登場する。彼らは探偵で、人の恐怖を喰らう者で、作家で、暗殺者だ。彼らが炎の魔女と出会うときに辿る道を、あなたは取り返しのつかぬ失敗と見るか、それとも――ささやかで不思議な、六つの異形の視点から語られる、ブギーポップの最初の事件。

 書籍『夜明けのブギーポップ』より

『夜明けのブギーポップ』の内容

本作は1冊で物語が繋がっているものの、書籍を読んでみるとどちらかというと短編集という印象を受けました。

 

あらすじではブギーポップがどうして誕生したのかといった最初の出来事が語られるかのように見えますが、あくまでもブギーポップが見てきた最初の事件が語られているだけです。

 

シリーズに共通していることですが、章毎に主観となる人物が変わり、それを合わせると1つの物語となるといういつもの展開が本作でも行われています。

 

6つのストーリーが描かれ、これが1つの事件へと収束することになります。

 

ただし主観となるストーリーがそれぞれに疑問をほとんど残すことなく完結しているため、短編集という印象が強いです。

 

時系列は『ブギーポップ・オーバードライブ 歪曲王』の中でブギーポップが想像の世界に囚われ、現実世界へ帰還するときにできた空白期間です。

 

『歪曲王』の事件の真っただ中でお話をしていたとは、作品の設定そのものがなかなかブギーポップらしいなと感じ魅力的です。

 

登場人物はこれまでのシリーズにかかせない人物が絡んできます。

 

  • ブギーポップ
  • エコーズ
  • 霧間凪
  • 織機綺
  • 羽原健太郎
  • 来生真希子
  • 霧間誠一
  • 水乃星透子
  • 合成人間

 

それぞれが違う時系列で登場し物語が展開します。

 

ブギーポップの始まりの物語かのように期待してしまいますが、ブギーポップの始まりについてはあまり触れられておらず、『炎の魔女』凪のビギンズといった印象のほうが強いです。

『炎の魔女』の誕生

 

以下ネタバレになります。

凪がかつて長く入院生活をしていたことがこれまでのシリーズで度々話にでてきたことがありましたが、この入院生活と理由を描いた物語です。

 

統和機構に所属する合成人間『スケアクロウ』の擬態用の人間名『黒田慎平』の主観で描かれています。

 

社会の表の姿として探偵業を営む彼はある日、統和機構からの指令によって寺月恭一郎の身辺調査の任務にあたります。

 

この時点で既に寺月恭一郎は中枢(アクシズ)から儲けすぎていると睨まれてしまっています。

 

また黒田が主観となっている物語ですので、この部分でこれまで明確にされてこなかった統和機構がどのようなものかが書かれています。

 

寺月恭一郎の身辺調査を進めるうちに彼はとある病院への寄付が気にかかり、そこへ探偵として調査に乗り込むことで入院していた凪と出会ってしまいます。

 

頭の良い彼女から黒田は普通の見舞客ではないと見抜ぬかれ、声をかけてしまい自分が探偵であると告げると気に入られてしまいます。

 

探偵として接する彼は将来何になっていいのかわからないと悩む凪に「クロダさんは何かやりたいこととかないの?」と聞かれた際に「そうだな―――正義の味方かな」と答えてしまいます。

 

凪は『度々やってくる原因不明の激痛』によって入院しています。

 

作中では凪が医者の話だと心の問題だとか成長痛だとかと黒田に説明しますが、彼にはその症状はよく知っているものなのでした。

 

凪は人間として次の段階へ進化しかけている状態でした。

 

合成人間に課せられた『MPLS』の発見という任務を果たすことができるはずの黒田ですが、何故かそこに達成感や喜びはなく、乾いた笑いだけが浮かぶのでした。

 

凪の進化は身体を破壊し、そのままだと未来がないことを彼は良く知っており、統和機構の研究施設から進化を安定させる特殊な薬物を盗み出し、刺客に追われながらも凪を助けてしまいます。

 

また彼は刺客によって負傷し逃亡中に動けなくなってしまったところで見知らぬ子供に会い最後の会話をします。

 

合成人間が凪を覚醒させ、更に見知らぬ不思議な子供との会話の中で「不気味な泡、と言うわけかい」と名付けてしまいます。

 

この物語で2人のヒーローの誕生が同時に書かれています。

 

ただし、刺客に追われながら凪に処置を施した黒田は残った特殊な薬物を処分せずそのままにしてしまい、それを医師の真希子が発見してしまい事件が幕を開けます。

 

凪の日常

入院時代から数年が経過し凪が送る日常が凪視点で描かれています。

 

ここで織機綺と羽原健太郎が登場し、これまで原作を読んでいた方には嬉しい『VSイマジネーター』以降のアフターストーリーも少しだけ描写されています。

 

霧間誠一の物語

凪が入院するよりもずっと昔まだ幼かった頃、彼女の父である誠一が生涯を捧げた本を書く事はなんだったのかということが誠一視点で書かれています。

 

最初は小説が売れて欲しいと思っているのに、小説のための設定資料としてまとめた哲学書のようなものを一緒に書籍として出したら何故だかそちらばかりが売れているということから始まります。

 

しかしとあるファンレターをきっかけに誠一の本の読者の中に、書かれている内容に共感し特殊な能力を発現し、そしてその人が不審な消され方をしていることに気づいてしまいます。

 

自分の本に宿る異能を励起させる力と特殊能力者の存在、そしてそれを隠蔽工作をする何かに気づいてしまった誠一は自分も同様に何かに消されることを察してしまいます。

 

そこから誠一がとった行動は、小説を書かなくなり誠一の本を書くことに専念しました。

 

それと同時に彼は娘の凪だけは巻き込んではならないとして最後まで凪の安全に配慮します。

 

結局のところ誠一は処分されてしまいますが、凪を助けることには成功します。

 

ただしその後凪自身がMPLSになってしまうのですが…。

 

この物語では残り時間が少なくなった誠一が散歩に出かけ公園のベンチで空を眺めていたところで幼少時代の水乃星透子が現れ少しだけ会話をします。

 

このとき既に彼女が異能を発現していたことがわかります。

 

来生真希子の物語

凪の担当医であった真希子はある日、特殊な薬物を発見しそれをそのまま自宅へと持ち帰り、自身で研究し実験と探求心から自身へその薬物を投与してしまいます。

 

それによって真希子は『恐怖喰らい(フィアグール)』という人の側ではない者へと変貌してしまいます。

 

彼女が起こした不審な事件には統和機構から誠一とスケアクロウを始末した合成人間のモ・マーダーが任務を与えられ、捜査の途中で同じく不審な事件を追っていた凪と出会ってしまい、一緒にこの事件を調べることになってしまいます。

 

真希子は文字通り人が恐怖を感じたときに人を喰らいます。

 

更に心が強い者ほど満足感を得られることから標的として凪を狙うようになります。

 

合成人間超人、そして能力に覚醒した凪が入り乱れて戦いを繰り広げます。

 

また超人に変貌してしまったことで真希子は世界の敵となってしまい、ブギーポップと出会ってしまいこの事件は決着します。

 

この物語では凪とブギーポップの初めての出会いが書かれています。

 

また『恐怖喰らい』の獲物の中に末真和子がおり、末真和子の経験に繋がっています。

 

これまでに描かれた犯人と性別や正体が違うというのは、彼女が隠蔽のため罪をモ・マーダーの表の顔に全て着せたせいです。

 

まとめ

本作はこれまでのシリーズを読んでいるのならば楽しめる一冊です。

 

『歪曲王』には世界の敵とは誰の事なのかということが書かれていますが、本作はそれぞれの始まりが書かれておりこれまで謎だった部分の多くが補完されています。

 

また他シリーズ作品と違い章毎に主観となっている人物の物語が完結するのでとても読みやすいです。

 

 

『夜明けのブギーポップ』については以上です。

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