オーバーロードⅢ 第3話『優しさという才能』

オーバーロードⅢ 第三話 『エンリの激動かつ慌ただしい日々』【あらすじ】
アーグはエンリたちに連れられてカルネ村にやってきた。そして、彼は自分たちの境遇を語る。三大と呼ばれる存在のうちの南の大魔獣、つまり森の賢王の姿が見えなくなってから、滅びの建物というアンデットを引き連れたものが現れたのだという。
東の巨人と西の魔女がそれと戦うためにゴブリンを連れて行こうとしたために、彼らは逃げてきたのだといった。
エンリはアインズに頼る前に、自分たちである程度問題を解決したい、というのだった。
そんな中、ジュゲムたちはアーグの仲間たちとともにオーガを捕縛する。そして、エンリの宣言によってそのオーガたちを服従させるのだった。
しかしエンリは、自らのなかなか面倒な立場を嘆くのだった。
『優しさという才能』【感想】
今回はタイトル通り、エンリの慌ただしい日々が描かれていました。これまでもカルネ村の中心人物としてエンリは描かれていましたが、今回、そんな彼女が村長としての役割を与えられるということになって、名実ともに中心的な存在になるということで、見ている側としては嬉しく思う回でした。
エンリはとても謙虚な人です。ただ、それは自分の才覚に対して無頓着すぎる、とも言えるかもしれません。彼女はとても優しい人です。薬学の知識に詳しく、それに関しては右に出るものがいない程のンフィーや、こと魔法に関してはおそらく世界最強クラスのアインズたちに比べると、確かに能力は低いかもしれません。しかし、村長になることを誰からも賛成されるということは、きっとそういうことだけでは測れないものを持っているということに他ならないのでしょう。
ンフィーが言った、ゴブリンたちへの態度、そして、村人たちへの態度、アーグを助けたときの姿勢、これらのものは決して「ただの村人」といってしまえるような人が持っているものではないでしょう。彼女は類稀な優しさ、包容力を持っているのだと思います。それは統率力や政治力というものとももしかしたら近いものになるのかもしれません。
どれだけの知識があろうとも、人がついていきたい、と思える人でなければ、国を統率することなどできません。この点では、アインズは圧倒的な力によってその気持ちを抱かせているわけですが、エンリの場合は、その原動力となるのが、優しさ、なのでしょう。
自分が呼んだ存在とはいえ、本来人間に対しては敵でしか無いゴブリンに対して、これほど優しくできる、そして、対等な存在として尊敬できる、感謝できる、というのは彼女自身の才能にほかならないと思います。
こういう感情は、才能とは区別して語られがちですが、誰にでもこういう態度が取れる、というのは一種の才能だと思います。彼女は、その才能が秀でている、ということはまず間違いないでしょう。
さて、そんなエンリですが、ンフィーの言葉に励まされて、村長になることを選びました。これはきっと、カルネ村とナザリックをつなぐ上でも、大事な変化だったのではないかと思います。もしカルネ村がナザリックの支配下に入るとしても、それが彼らにとって負の変化にならないようにしてくれるのではないか、と期待させられます。
これからの展開からも、目が離せません。