「ブギーポップは笑わない」アニメ2019年版1話と2話が始まる前に原作小説についての紹介(ネタバレあり)

はじめに
1998年に刊行され未だ色褪せる事のない面白さと人気を持つ『ブギーポップ』シリーズ。
『ブギーポップは笑わない』とは上遠野浩平による電撃文庫から刊行されているライトノベルで、イラストは緒方剛志が担当している。
漫画化や2000年にはオリジナルストーリーのアニメ化、更には同年に実写映画化もされており様々なメディアで展開されている。
新たに刊行から20周年ということで2019年1月よりTVアニメの放送が決定している。
新作では監督には『ワンパンマン』で知られる夏目慎悟、アニメーション制作にはマッドハウスが担当する。
今回は数あるブギーポップシリーズの中で第1作目となる『ブギーポップは笑わない』の内容をご紹介。
TVアニメ『ブギーポップは笑わない』ティザーPV
『ブギーポップは笑わない』あらすじ
君には夢はあるかい?残念ながらぼくにはそんなものはない。
でもこの物語にでてくる少年少女達は、みんなそれなりに願いを持って、それが叶えられずウジウジしたり、あるいは完全に開き直って目標に突き進んだり、まだ自分の望みというのがなんなのかわからなかったり、叶うはずのない願いと知っていたり、その姿勢の無意識の前向きさで知らずに他人に勇気を与えたりしている。
これはバラバラな話だ。かなり不気味で、少し悲しい話だ。―――え?ぼくかい?僕の名は“ブギーポップ”―――
書籍『ブギーポップは笑わない』より
『ブギーポップは笑わない』の内容
『ブギーポップは笑わない』は深陽学園を舞台にそこに通う生徒の様々な視点で物語が展開していきます。
各章毎に一人称で描かれる生徒が変わり、「人が最も美しいとき、それもその人が老いさらばえる寸前に、一瞬で苦痛もなく人を殺してしまう」という男子には秘密の女子だけのブギーポップの噂のことやブギーポップの正体である宮下藤花、『炎の魔女』と呼ばれる霧間凪という生徒を、別の生徒の視点で描き物語が進行していきます。
例えば宮下藤花の彼氏である竹田啓司とブギーポップの関係や風紀委員長の新刻敬からみた切間凪を含む他生徒など。
簡潔に言ってしまうと『ブギーポップは笑わない』の物語は『エコーズ』と呼ばれる者と『マンティコア』という怪物の戦いで、それにまつわる事件や噂等を深陽学園に通う生徒達の視点で断片的に描きそれぞれの生徒の体験をひとつにまとめると『エコーズ』と『マンティコア』に繋がるという構成になっています。
またこの事件に関与する生徒の多くは風紀委員会に属しており、学年やクラスは違えどそれぞれがお互いの事を委員会を通して知っている関係にあります。
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マンティコア
ある秋に起きた少女達の失踪事件が物語の中でその犯人は『マンティコア』と呼ばれるコピー能力を持つ生命体だということがわかります。
過去の強い体験で正義の味方のような活動をする切間凪は独自にマンティコアを追い調査します。
早乙女正美という男子生徒は『マンティコア』という普通ではない存在に魅了され、自分の意思でマンティコアに人間の世界での知恵を与え、『マンティコア』という人喰いに協力し世界を変えようと企みます。
不良少女達は『マンティコア』から中毒性のある不思議な薬を渡され、段々と堕落し学校生活からドロップアウトするようになり、『マンティコア』の餌食となってしまいます。
これが少女達の失踪事件なのですが、作中ではその少女達の素行の悪さから家出と捉えられており、失踪事件そのものはあまり問題視されず、ある生徒がいなくなるまでは誰も失踪した少女を探そうとしません。
エコーズ
『エコーズ』という存在も『ブギーポップは笑わない』を語るには欠かせません。
『エコーズ』は世界から人類を試す為に送られた超常の存在です。
人間を判断し報告するという使命を持っているエコーズは自分から交渉や演説をする必要がない為、相手が発言した言葉しか話すことができません。
そのために谺(こだま)という意味で『エコーズ』と呼ばれています。物語の中では人間の姿をとっていますが、実は地球上にない物質で構成されており、『何にでもなれる能力』を持っています。
そんな『エコーズ』の身に不測の事態が起こってしまいます。
『エコーズ』が地球へ送りこまれた際に、調整を間違え、その時の人類の進化の段階よりも更に進化を遂げた状態をとってしまい、それを見つけたとある研究機関がこの『エコーズ』を突然変異の人間だと判断し、徹底的にエコーズを研究しそのクローンを作りだします。それが『マンティコア』です。
しかしその実験は失敗に終わり『マンティコア』の暴走により実験施設は破壊され、『マンティコア』は逃亡の中で深陽学園に潜むことになります。
また『エコーズ』は相手の発言した言葉しか話すことができないという制約によってこの事態を誰にも伝えることができず困っていました。
こんなエコーズの地球での生い立ちですが、作中では特に詳しく焦点が当たることはなく、エコーズと親睦を深めた紙木城直子という生徒が別の生徒に例え話をする中でこのような事実が明らかになります。
ブギーポップは?
「ぼくは自動的なんだよ。周囲に異変を察したときに、宮下藤花の中から浮かび上がってくるんだ。だから、名を『不気味な泡(ブギーポップ)』という」と名言をもつブギーポップという存在。
宮下藤花の別の人格として世界の危機が訪れたときに表にでるとブギーポップ自身が言っています。
第1巻の『ブギーポップは笑わない』では実はあまり出番がありません。
実際には作中内で独自に行動していると思われますが、深陽学園に通う生徒達の視点で物語が進行する為、事件の中でブギーポップと関わり合いがあったのは宮下藤花の彼氏である竹田啓司がほとんどです。
彼目線でのストーリーではブギーポップの人物像や容姿等のキャラクター性を中心に描いています。
作中ではエコーズとマンティコアとの直接の決戦の後に後始末をした程度の活躍です。
ブギーポップシリーズ第1巻『ブギーポップは笑わない』については以上です。