ブギーポップは笑わない 2019年版アニメ 第16話 感想と解説「ブギーポップVS怪獣ゾーラギ!わかりにくい本編を解説」

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第16話「オーバードライブ 歪曲王 3」あらすじ
ブギーポップと共にムーンテンプルの中を進んでいく新刻敬。
ブギーポップが言うには、世界に危機が迫っていることは確かだが、
それがどのような危機なのかまでは、まだわからないらしい。
歪曲王と名乗っている何者かを倒せばいいのではないかと問う敬だったが、
事態はそんなに簡単なものではなく、それこそ歪曲王と
敵対するかどうかさえわからないと答えるブギーポップ。
そんなときふいに敬のお腹の虫が鳴り、それを聞いたブギーポップは、
空腹は神経を乱すと、可愛らしいお弁当を敬に差し出す。
感想「ブギーポップVS怪獣ゾーラギ!わかりにくい本編を解説」
第16話の内容
ムーンテンプル内に閉じ込められた新刻敬とブギーポップ、堂本咲子、羽原健太郎と田中志郎、橋坂真とゾーラギというそれぞれの不思議な出来事と外で宮下籐花を心配する竹田啓司の姿が描かれていました。
後半部分では橋坂真が創造したゾーラギが歪曲王の力から暴走し現実世界に出ようとするイレギュラーが描かれ、ブギーポップが怪獣を討伐するというシーンもありました。
原作小説既読の私からしてもアニメの展開では現実世界と歪曲王の世界とを行ったり来たりするために今どちらの世界にいるのかという点がわかりづらく思ってしまいました。
『オーバードライブ 歪曲王』に関しては原作小説のネタバレ解説記事がありますので、よくわからない点や原作小説に興味のある方はこちらをご覧ください。
新刻敬とブギーポップ
主要人物となっている新刻敬だけは歪曲王の事件に関しては、ややイレギュラー的に事件へと関わりを持っています。
他の事件へ巻き込まれてしまった人々とは違い、街でブギーポップの姿を偶然見かけたためムーンテンプルへ入り、自らの行動によって事件へと参加しています。
そのため新刻敬だけはムーンテンプル内の一般通路ではなく、従業員用の裏口や裏の通路を使ってブギーポップと共に塔内を移動しています。
新刻敬は宮下籐花をよく知っており全く同じ顔であるブギーポップの存在に関しては半信半疑な部分があります。
第16話作中ではブギーポップが宮下籐花のことを「彼女」と呼び、宮下籐花に嫉妬しているという気持ちを聞いてブギーポップを再認識しています。
ただしブギーポップの存在を確信する前にゾーラギによって地震が起き再び歪曲王の作りだした世界へと捕らわれてしまいます。
ちなみに原作小説では宮下籐花は口笛を吹けないという事も描写されています。
堂本咲子が捕らわれた世界
堂本咲子は日奈子との想い出の世界にこれは夢のようなものだと思いながらも心地の良さから抜け出せずにいます。
心に負った日奈子という傷をその世界では否定するものはおらず、堂本咲子にとっては優しい世界です。
そんな世界に浸っているため思考がやや鈍くなっているところがあります。
羽原健太郎と田中志郎
羽原健太郎と田中志郎は他のムーンテンプルの中にいる人々が歪曲王の世界へと捕らわれている状態と違い、現実世界で覚醒し今起こっている状況を分析して答えに近いものに辿り着きつつあります。
志郎「幻覚ですか?」
羽原「あぁ、おそらく高精神効果のある麻酔ガスを撒いた。とかそんなところだろ。わざわざこんな完璧な閉鎖性を持った建物作ってんだ。寺月恭一郎が犯人である可能性が高い」
と作中で会話をしていたようにムーンテンプル内で起こっていることを予測しており、ただ事件を起こした理由がわからないとも述べています。
しかしムーンテンプル内部で動けているのは2人だけですので、羽原健太郎と田中志郎は最上階層にある管理室を目指して上へ上へと移動しています。
しかし羽原健太郎もまたゾーラギの起こす地震と叫び声を聞いてから再び歪曲王に捕らわれてしまいます。
回想で橋坂真の絵に関して保育士が耳うちしていた内容は?
原作小説ではあのシーンは父の日にお父さんの似顔絵を描きましょうというよくあるテーマの行事で橋坂真が怪獣の絵を描き、それをお父さんだと保育士に説明していました。
橋坂真に聞こえないように別の保育士が絵について質問した保育士に橋坂真の家庭の事情を告げています。
ブギーポップVS怪獣ゾーラギ
橋坂真が想像し歪曲王の世界で作りあげたゾーラギという怪獣は歪曲王の力で制御がきかなくなり暴走状態へと陥ってしまいます。
ゾーラギは僅かながら意志を持ち、歪曲王の世界から橋坂真を出口にして現実世界へ進出することを目標としています。
ブギーポップがやや回りくどい怪獣との戦闘を繰り広げていましたが、あれは橋坂誠の世界の中であるため、怪獣ゾーラギに対する憧れという意識から怪獣を倒す正義のヒーローブギーポップに変えるために橋坂真にわかりやすく戦っています。
結果橋坂真はゾーラギに抱く想いよりも怪獣を倒し自分を救ってくれた正義のヒーローブギーポップという存在への憧れが強くなり、ゾーラギが現実世界に進出するという事態が阻止されました。
原作小説ではわずかですがゾーラギの心理描写が描かれています。
また夜明けのブギーポップの舞台はこの歪曲王によって作られた橋坂真の世界にブギーポップが入り込み、ゾーラギを倒してから現実世界に再び戻るまでの間の時間に語られた物語です。
新刻敬がたどり着いた答え
新刻敬は歪曲王が自身の世界に引き込んでいるのではなく、歪曲王自身がその人の心の中に入り込んで刺激をしているという推理を早乙女正美の姿をとった歪曲王に話しました。
歪曲王はこれを認め、ゾーラギが暴走していることも新刻敬に告げています。
新刻敬と早乙女正美の姿をとった歪曲王のシーンはどうして新刻敬にとって早乙女正美が現れたのかという部分が主題として描かれています。
新刻敬にとってはこの事件は早乙女正美という形をとった心の傷は何なのかを突き止めそれと向き合うという物語です。
第16話の感想・解説は以上です。