北の大地で金塊求めてサバイバルゴールデンカムイの魅力とは

北の大地で金塊求めてサバイバルゴールデンカムイの魅力とは

ゴールデンカムイとは

「カムイ」とはアイヌ語で「自然」を意味する。ゴールデンカムイの舞台は明治末期の北海道、大自然のなかで一攫千金を目指す者たちの姿を描いた作品だ。と書けば冒険漫画と勘違いをさせてしまいそうなので訂正しよう。探し求める元兵士と脱獄囚が一攫千金を目指して戦い、逃げ、出会い、食べる(?)サバイバル漫画だ。

 

 週刊ヤングジャンプ2014年38号で連載がスタートしたこの漫画は2018年3月現在も連載中である。コミック化された2015年にはコミックナタリー大賞や2016年のこのマンガがすごい!では第2位、2016年マンガ大賞では大賞を受賞するほどの人気を博し、2018年4月からはアニメ化が決定している。

ゴールデンカムイのあらすじ

 日露戦争の戦火をくぐり抜け「不死身」と呼ばれた元兵士の杉元は、ゴールドラッシュ真っ只中の北海道で砂金掘りに勤しんでいた。

 

 戦士した親友の望みだった「妻の眼病治療」を叶えるためだ。できれば手っ取り早く金が欲しい杉元の耳に、現在の価値にして8億円にのぼるアイヌの金塊についての噂が届く。

 

 アイヌから金塊を奪った死刑囚ののっぺらぼうは、金塊の隠し場に関するヒントを囚人らの体に入れ墨として彫り込んだという。

 

 脱獄できたら金塊の半分が与えられると聞いた囚人たちは続々と刑務所を抜け出し、北海道の地に放たれた。
 

 金塊探しを決意した杉元はその途中でヒグマに襲われたが、アイヌの素朴な少女アシㇼパの狩猟技術に助けられる。

 

 彼女の父こそが、のっぺらぼうに金塊を奪われたアイヌだった。のっぺらぼうへの復讐と金塊奪還、眼病治療費以外はアイヌに戻すという前提で、アシㇼパは杉元に協力することとなった。

 

 金塊のありかを知るためには、囚人の入れ墨を皮膚ごと集めなければならない。一儲けを企む者たちと阻む者たち、そして入れ墨囚人の血なまぐさい争いが始まった。

ゴールデンカムイの魅力

 劇画タッチのシリアスな絵柄から、ハードボイルドなアクション漫画という印象を受けたが、いい意味で裏切られることとなった。

 

 入れ墨囚人を探し、皮をはぎいでつなぎ合わせるという目的を達成するために、人々は殺し合い、当然流血シーンがある。拷問もあれば体の一部だけが転がっている描写もある。

 

 そういった緊張感のあるシーンの合間に、過剰なリアクションを織り交ぜたギャグパート(二本足で立つエゾシカに殴り倒されたり、ほっき貝の殻で作ったぽっくり下駄を踏み潰して滞在が一日伸びるほどの痛みに苛まれる男がいるなど)が絶妙な量・質で織り込まれている。

 

 シリアスパートで刻み込まれた眉間のシワが、ふっと緩む瞬間だ。

 

 この漫画はアイヌの伝統文様、生活様式、風習などが詳しく調査された上で描かれており、アイヌの文化に詳しい研究員や情報施設の職員からも高い評価を得ている。

 

 学校の授業で知り得る「アイヌ」は、冷遇や人種差別といった暗く寂しい印象が先行するように思う。

 

 しかしこの漫画からはアイヌの人々の力強さや明るさ、自然との共存能力の高さがにじみ出ており、アイヌに対して私が抱いていたイメージはガラリと塗り変わった。

 

 前編を通してアイヌ独特の料理が数多く描かれていることも、強さや明るさを印象づけるのに一役買っているのであろう。子供のイイ顔の写真を撮るには食事時がベストなのだと聞いたことがあるが、食事は楽しいものであり人々を明るくする。

 

 ゴールデンカムイにおける食事シーンでも同様だ。生きるために動物を狩り、無駄なく食べる。生きとし生けるもののエネルギーを吸収したアイヌの人々は、厳しい自然にも打ち勝つ力を得ているのだろう。

 

 そういった屁理屈を抜きにしても、紙面に描かれるどの料理からも美味しそうな匂いが立ちのぼっているのだ。空腹時でなく、ぜひ満腹時の読書をおすすめしたい。

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